チラシ裏の雑記

toNight ーノベル風メモポエムー その2

少ない街灯と月明かりが頼りの田舎町。どの民家も明かりは無く、もう叫び声をあげる者も居なくなってしまった。
宛先も告げられないまま、ターゲットの映像だけを押し付けられて転送されただけあって右も左もわからないが
身体はそういう時の立ち振る舞いを覚えて居た。ただ、この土地にきたことが無い事だけは察する事が出来た。
なにせ暗いものだから、進んだ先が袋小路だとわかる頃は引き返す以外に道が無くなっていて、
運の無さも相変わらずか、などと言う憂いは確信に変わってしまった。

自分の腕の長さと同じくらいある膜の様な翼には、それを操り羽ばたく為の骨格が通っており、
奏でる羽音は人々に絶望を与えるには十分な代物であったに違いない。
力強く羽ばたき宙に浮くその姿は、およそ人類が知り得るコウモリの姿ではなかったが
かつて自分はアレをコウモリと呼んでいた記憶が曖昧に過ぎり、身構えた刹那
コウモリは案の定こちらに向かって飛んで来たので、迎え撃つ為に握っていた長包丁へ力が入る。

あの部屋で目が覚めた時丸腰だった自分の、はい に触れた直後にあった説明の中に
"武器防具は現地調達"と載っていた心境と言ったら。

精肉屋の様な店で見つけた、刃渡り精々30cm程度の捌き包丁、切れ味は信じて良いだろうが、問題は・・・・
思考も束の間、コウモリからの体当たりを避けきれず、左腕に衝撃が走るがコウモリからは目を離さない様目を凝らす。
コウモリの軌道はただでさえ読み辛い。闇夜でコウモリと対峙してしまったのは不幸中の不幸であるが
それに反して自分の口元は卑しくも緩んでいた。
再びコウモリが接近し体当りを仕掛けて来たので身を屈め躱し、腹部を左手で思いきりぶん殴り、右手に握っていた包丁で片翼の膜を裂いた。
何が起こったか理解できていない落ちたコウモリに駆け寄り、飛べないコウモリの頭を踏み抜くと、ゴシャ、という音だけが響いた。

コウモリ、蜂、蜘蛛、蛇、蠍・・・果てはウィスプ、オーク、インプ。
確かに自分はそんな魔物と戦っていた。この感覚は、気のせいじゃない。
依然としてあの部屋に来た前後は思い出せないが、どうやら自分はこの街の住人とは違い、魔物との戦いに慣れている様だが
手応えとして身体は鈍っていると実感し、まとめて来られたら厄介だと、早々とその場を後にした。
・・・・赤い玉の示した"ターゲット"について見覚えがない事に、大きな不安を抱きながら。

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