チラシ裏の雑記

toNight ーノベル風メモポエムー その1

2018/03/09

夢を、見ていた気がする。
どんな夢だったかは思い出せるのに、肝心の内容を綺麗さっぱり忘れてしまったものだから更に後味も気味も悪く
瞼を開けるのが益々億劫になっていくけれど、ヒンヤリと固い床の寝心地もまたそれに勝るとも劣らない不快さで
不本意で悔しい思いをしながら上体を起こし目を覚ます事にした。
目を覚ました筈なのに夢と現実の判断がつかなかったのは、そこが見覚えのない場所だったからなのか、耳鳴りにも似た無音のせいなのか
はたまたこの白が基調になっていそうな部屋が醸し出す不気味な雰囲気に圧倒されたからかは不明だが、兎も角右も左も前も壁。
10畳ほどの、割りかし広めな部屋の中心にいる自分は、まるで世界にたった1人だけ残された人類の様だった。

「なん・・・だ、ここは・・・」

誰もいないのに声を出したのは、湧き上がる恐怖心と孤独感を抑える為だったがよく前方を見てみれば、
何故今まで気付かなかったのかと思う程主張された祭壇と、そこに佇む赤い球体と目が合い、その深みのある赤色に視線が釘付けになった。
身体は全力で警鐘を打ち鳴らしているのに、吸い寄せられる様に赤い玉の元へ向かおうと立ち上がる際に発生した
思い掛けない痛みでふと我に返ったまでは良かったが、痛みに心当たりがなく立ちすくみ、そのまま自分の両手の平を見つめ考えた。
自分は、誰だったのか、何だったのか。
名前は直ぐに思い出せた。カズヤだ。歳は15、性別は男、全身に広がる筋肉痛は・・・・ここに来る前はー・・・・
まだ寝ぼけているのか、やはり夢の中なのか、理由は定かではないが、兎に角ここにきた理由や身体の痛みに心当たりはなく
ただ痛みが走るという事は、ここは現実なんじゃないか、という大きな不安で思考が埋め尽くされそうになるのを回避する様に頭を振ると、何かが視界に入った様に感じた。
先ほどの赤い玉ではない気配を同時に感じ、心臓が脳に血液を送り付けてくる鼓動が呼吸を求めるので腹の奥を使って空気を吸ってやり、気配の方へ身構え視点を合わせると
そこには女が張り付けられていた。
女だと思ったのは、当然その身体的特徴からではあるが構えを解く理由にはならず、そのまま凝視する形となり
拘束具による首、手、足の張り付け、同年代程の整った顔立ち、衣装についての思考は、その豊満な胸と閉じられた瞼に上書きされてしまい、親友を呪った。

「一揉みくらいならいけるんじゃないか」

先程までとは違った緊張感を制しつつ、次の一手を模索している最中急に寒気が背筋を走り振り返ると赤い玉に文字が浮かんでいる様に見え
不公平な欲情を制し赤い玉の元へ近づいたまでは良かったが、浮かんでいる文字を読んで心の底が締め付けられた。

ー貴方は予定通り無様に死に絶えましたが、運命が変わりました。生き還る為のテストを受けますか?ー

鋭い痛みが頭をよぎり思わず顔を顰めつつも、この言葉の後に続く はい いいえ の文字から目が離せない。
貴方とは自分を指しているのか、自分だったとしてどうやって->無様に、運命とは、テストとは、選択の余地は・・・・
文章から はい を選択する以外許されていない事は容易に想像できる。だからこそ気になる、想像してしまう いいえ の未来ではあるが
本当に、本当に悔しい思いをした気がするのは夢の話のハズだと、先程から自問自答が繰り返される度に拳に力が入るので
この後悔を晴らすべく、利き手の人差し指で はい に触れた。

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